通夜の流れを初めての参列者向けに解説|受付から焼香までの手順

はじめて通夜に参列する際は、「どこで香典を渡す?」「焼香は何回?」など、具体的な所作が気になるものです。本記事では、会場到着から受付・記帳・席に着くまで、そして読経・焼香・通夜振る舞い・退席までを、順番にわかりやすく解説します。

最低限守るべきポイントは、静かな所作・黒基調の服装・案内と係の指示に従うこと。この3つを押さえれば、初めてでも落ち着いて振る舞えます。必要な持ち物や一言例も載せていますので、直前の確認にもご活用ください。

通夜とは?基本と所要時間

通夜は、葬儀・告別式の前夜に、故人と最後の時間を過ごし冥福を祈る儀式です。読経と焼香を中心に、弔電披露や喪主挨拶、通夜振る舞い(会食)を行うことがあります。服装は黒基調の準喪服が目安で、アクセサリーや香りは最小限に抑えます。

所要時間は読経と焼香で30〜60分程度が標準です。通夜振る舞いがある場合はさらに30〜60分ほど長くなります。会社関係の弔問は読経の前後での短時間参列も少なくありませんが、受付・焼香・挨拶の要点は同じです。

段取り 主な内容 目安時間
到着〜受付 香典を渡す/記帳/案内に従い着席 5〜10分
開式〜読経 僧侶入場・読経・合掌 10〜20分
焼香 喪主→親族→参列者の順に焼香 10〜20分
挨拶等 弔電披露・喪主挨拶・連絡事項 5〜10分
通夜振る舞い 会食(任意)/辞退も可 30〜60分

通夜と葬儀・告別式の違い

通夜は「前夜の弔い」で、急な参列にも配慮した場。葬儀・告別式は翌日の本儀でフォーマル度が高く、時間も長めになります。

参列する時間帯の目安

案内状の「開式時刻」の10〜15分前に到着が理想。仕事後の弔問のみの場合は、係に一言断ってから会場を後にします。

参列前の準備(服装・持ち物・心構え)

黒無地・マット・装飾最小を基本に、男性は黒スーツ+白シャツ+黒無地ネクタイ、女性は黒ワンピース/スーツ+黒ストッキング+黒パンプスが無難です。コートやマフラーは会場入口で外し、音や光沢の少ない素材を選ぶと安心です。

持ち物は香典袋・袱紗・数珠・ハンカチ・身分証が基本。香りの強い整髪料や香水は避け、スマホは完全サイレント(バイブも切る)に設定しましょう。

  • 服装:黒基調・無地・マット/アクセサリー最小限
  • 持ち物:香典袋・袱紗・数珠・ハンカチ・筆記具
  • スマホ:電源オフまたはアラーム含む完全サイレント

服装の目安(男女共通)

光沢・大きなロゴ・派手柄は避け、靴やバッグも黒で統一。女性のアクセサリーは小粒パール一連までが目安です。

持ち物チェック

香典袋の中袋に「住所・氏名・金額」を記入済みか確認。筆記具は黒インクで、記帳時に落ち着いて書けるよう準備します。

香典袋の表書き

仏式は「御霊前」または「御香典」が一般的(浄土真宗は「御仏前」多し)。宗教不明なら「御香典」が無難です。

会場到着〜受付の手順

入口で外套類を外し、荷物は最小にして受付へ。袱紗から香典袋を取り出す位置で軽く一礼し、受付の方が受け取りやすい向きで両手で差し出します。続けて芳名帳に記帳します。

会社や団体での参列時は、案内に従って代表者がまとめて香典を渡す場合があります。個別に渡す場合でも、受付での導線を妨げないよう順番を保ちましょう。

ステップ 所作のポイント
1. 入口で整える コート・マフラー・手袋を外す/スマホ完全サイレント
2. 受付へ 一礼→香典を両手で/「このたびは…」など簡潔に
3. 記帳 氏名・住所・所属(会社名)を丁寧に記載
4. 着席 係の案内に従い静かに着席/荷物は足元

受付での一言例

「このたびはご愁傷さまでございます。◯◯(会社名)の△△と申します。」と簡潔に。長い挨拶は不要です。

記帳の書き方

フルネームを楷書で。会社関係は「会社名+部署+役職+氏名」を推奨。住所は都道府県から省略せずに記載します。

香典の渡し方・袱紗(ふくさ)の扱い

香典袋は袱紗に包んで持参し、受付の前で静かに取り出します。表面(表書き)が相手側から正しく読める向きにして、両手で差し出し軽く一礼します。袋は会場で開封しないのがマナーです。

新札は「事前準備の印象」を避けるため控えるのが通例。やむを得ず新札の場合は、軽く折り目を付けてから中袋に入れます。お札の向きは、人物が裏面・下向きになるように揃えるのが一般的です。

袱紗の基本

弔事は紫・紺・グレーなど落ち着いた色。受付前で袱紗を開き、香典袋を取り出したら、袱紗は手早く畳んで脇へ。

連名・会社関係の書き方

夫婦は世帯主名の左に配偶者名を小さく添える/会社有志は「○○部有志一同」とし、別紙に名簿を同封すると丁寧です。

着席マナーと席次の考え方

席次は祭壇に近い前方が遺族・親族、後方が一般参列者という配列が一般的です。会社関係は相手との関係性に応じて中段〜後方に案内されます。空席が多い場合でも前方中央は避け、端の席を選ぶと混雑時に動きやすくなります。

着席後は私語を慎み、コートや荷物は椅子にかけず足元に。飲み物の持ち込みは控え、必要なら係に一言断るのが安全です。体調不良や小さなお子さま連れの場合は、出入口に近い席を選ぶと負担を減らせます。

位置 主な対象 補足
前方 喪主・遺族・近親者 案内に従い指定席へ
中段 親族・会社関係(上位) 部署代表・上司など
後方 一般参列者・弔問のみ 出入りがしやすい

遅刻・途中退出の対応

やむを得ない場合は入口の係へ事情を伝え、読経中は入退室を避けます。退席は焼香後の区切りで静かに行いましょう。

お子さま・ご高齢の方と一緒のとき

出入口に近い席を選び、必要に応じて途中退席。周囲への配慮として、音の出ない小物や膝掛けを用意すると安心です。

開式〜読経・参列中の過ごし方

開式の合図とともに会場が静まります。僧侶の読経中は着席して合掌、目を閉じるなど静かに故人を偲びましょう。弔電が読み上げられることもありますが、拍手などは不要です。

係から焼香の案内があったら、列に加わり順番を待ちます。ハンカチや荷物は手に持たず、両手が自由になるように。通路では前の方との間隔を適度に保ち、急がず進みます。

スマホと音のマナー

アラーム・バイブも含め完全サイレント。通知音やシャッター音は厳禁で、撮影は喪家の許可がある場合のみ行います。

弔電披露があった場合

名前や所属が呼ばれても反応は不要。頭を垂れて静かに聞き、式後に関係者へ礼を述べる場合は短く簡潔に。

焼香の手順(初めてでも迷わない)

焼香台の前では、一礼→遺影に一礼→抹香をつまむ→額へ(宗派により省略可)→香炉へ→合掌→一礼、という流れが基本です。回数は宗派や会場の案内に従うのが最優先。迷ったら、前の方の所作を参考にしましょう。

焼香中は歩幅を小さく、衣擦れや金具の触れ音を出さないよう配慮します。順番待ちの列では私語を慎み、姿勢を正して待機します。

手順 動作 ポイント
① 一礼 焼香台の手前で軽く一礼 背筋を伸ばし静かに
② 抹香 右手でつまみ左手を添える 量は少量で十分
③ 額へ(任意) つまんだ香を額に寄せる 宗派により省略可
④ 投香 香炉へ静かに落とす 回数は案内に従う
⑤ 合掌 胸の前で手を合わせる 短く・心を込めて
⑥ 一礼・退く 遺影に一礼→半歩下がる 次の方に道を譲る

宗派別の回数目安

一般には1回〜3回が多め。真言宗や曹洞宗では1回、浄土宗は1〜3回など幅があります。会場の指示があれば必ず従いましょう。

数珠の持ち方

左手に輪を通し、右手を添えて合掌。歩行中は手首に軽く掛け、音を立てないよう扱います。

通夜振る舞い(会食)の受け方

読経・焼香後、喪家から通夜振る舞いの案内がある場合があります。時間に余裕があれば参席し、故人を偲ぶ言葉を交わします。席では飲食は控えめにし、長居は避けるのが礼節です。

事情があって辞退する場合は、係か遺族の方へ短く丁寧にお断りします。手短な言葉で失礼なく退席すれば問題ありません。

辞退の言い方(例)

「本日はお時間を頂戴しありがとうございました。あいにく所用があり、通夜振る舞いは失礼いたします。改めてご冥福をお祈り申し上げます。」

参席する場合の席での配慮

席は勧められた位置へ。食事中も私語は控えめに、献杯があれば静かに従い、長話や大声は避けます。

退席〜帰宅までの流れ

通夜振る舞いに参加しない場合は、焼香後の区切りで静かに退席します。参列者が多い場合は混雑を避け、出入口付近で立ち止まらないよう注意します。会場外でコートを着用し、スマホの電源を戻すのは建物を出てからにしましょう。

喪主や遺族へ一言伝える際は、短く簡潔に。感情的な言葉よりも、労いとお悔やみを端的に述べると相手への負担が少なくなります。

遺族への声掛け例

「本日は誠にご愁傷さまでございました。寒い日が続きますので、どうぞご自愛ください。」など、相手を気遣う一言を添えます。

弔電・供花の確認

会社や団体名で供花・弔電を手配している場合は、札や披露の有無を関係者と共有。会場スタッフに確認すると確実です。

参列できない/弔問のみの場合のマナー

やむを得ず参列できない場合は、喪家の了承があれば香典を現金書留で郵送します。お悔やみの言葉を添え、到着日が通夜〜葬儀前後になるよう配慮しましょう。供花・供物は会場規定があるため、必ず事前確認を。

仕事の都合等で弔問のみの場合は、受付で事情を伝え、焼香を済ませて静かに辞すのが基本です。長時間の滞在や会食の席へは進まないようにします。

香典郵送のポイント

現金書留用封筒に香典袋を入れ、差出人の住所・氏名を明記。弔意の手紙を同封すると丁寧です。

弔電・供花の手配

弔電は式場宛て・開式前必着が理想。供花は会場の規定(サイズ・色・札書き)に従い、手配先と到着時間を共有します。

まとめ(直前チェックリスト付き)

通夜は「静かな所作・黒基調の装い・案内に従う」の三原則で十分に礼を尽くせます。到着〜受付〜焼香〜退席までの流れを押さえておけば、初めてでも落ち着いて参列できます。迷ったら会場の係に小声で確認しましょう。

出発前チェック:①香典袋(中袋記入済)②袱紗③数珠④ハンカチ⑤スマホ完全サイレント⑥コートは入口で外す段取り⑦遅刻時の一言を用意。——この7点を整えれば、当日の所作は自然と整います。

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